韓国を代表する写真家の具本昌(クー・ボンチャン)は、つねに「時間の経過」をあつかう。彼は、静かでフラジャイルな瞬間をとらえ、目に見えない気配を写し出そうとする。 2004年以来、クー・ボンチャンは韓国の文化遺産である「白磁」をテーマに、日本民藝館から大英博物館まで、国内外の美術館が所蔵するさまざまな「白磁」コレクションを撮影してきた。彼にとって「白磁」は、朝鮮王朝時代の美の本質をつたえるエコーであり、日用使いによる表面のヨゴレやひび割れは、生活していた人のあたたかな痕跡なのである。2007年には、何年もかけて蒐集した「使いかけの石鹸」を撮り下ろした『くらしの宝石』(ラトルズ社)を日本で刊行。作品は、ソウルのSamsung Rodin Gallery(2001)、マサチューセッツ州のPeabody Essex Museum(2002)、パリのGalerie Camera Obscura(2004)、ソウルのKukje Gallery、何必館・京都現代美術館(2006)、東京都現代美術館 (2006)、釜山のGoeun Museum of Photography(2007)、フィラデルフィア美術館(2010)など、40以上の個展に出品してきた。