Paper Cats / 服部一成

Bibliographic Details

Title
Paper Cats
Author
Kazunori Hattori / 服部一成
Editor
Osamu Kushida / 櫛田 理
Publisher
BON BOOK / 図書印刷株式会社
Year
2021
Size
w148 × h210 × d10mm
Weight
185g
Pages
48 pages
Language
Japanese / 日本語
Binding
Hardcover / ハードカバー
Printing
offset printing / オフセット印刷
Condition
New / 新品

Layout Design by Kazunori Hattori 服部一成、Book Design by Yoshihisa Tanaka 田中義久、Sales Cooperation by 無印良品 MUJI BOOKS、Printing and Binding by TOSHO PRINTING CO., LTD. 図書印刷株式会社

たしかにそんなことが
一回起きたよね
という偶然のデザイン。

あたらしいのに懐かしく、やさしいのに鋭い、独特のデザインを手がけるアートディレクター、グラフィックデザイナーの服部一成さん。2022年に旗揚げした「FRAGILE BOOKS」のロゴマークやケアシールの制作も手がけていただいた。

本書には、服部さんがハサミで切り抜き、自ら写真に撮った23匹の「紙の猫」が登場する。

表紙と見返しを瑠璃色で包んだ薄手のハードカバー。ワンテーマをシンプルに仕立てた一冊。意外にも著書がほとんどない服部さんらしい小品に仕上がっているだろうか。スタイルは、セルフパブリッシュなZINEのように軽やか。だけど、この本が生まれた背景には、いまを生きるグラフィックデザイナーの苦悩というか、ジレンマが横たわっていたように思う。

現代を生きるデザイナーは、良くも悪くも「パソコンでデザインする」という空気のようにあたりまえな環境に包まれている。服部さん自身は「たぶんぼくは写植を経験した最後の世代」と言っていた。デザイナーの環境が目まぐるしく変化した数十年を駆け抜けたトップランナーとして、その変化は否が応でも体感してきたことだった。それは、服部さんの性分からくるものでもあるのだろうけれど、数値で測ったように予定通り仕上げていくパソコン依存のデザインに、なかば嫌気が差しているようにも感じられた。

そこで、この本である。西麻布の服部さんの事務所に訪問した最初の打ち合わせで、本書の骨子はおおよそ決まっていた。服部さんの仕事のしかたは、相手の意図を汲み取って、じぶんごとにするのがとてつもなく早い。その途中であれこれ寄り道したり、悶々と雑談するようなことはほとんどなかった。とくに今回は「じぶんの身体でデザインする」ことへの渇きが服部さんを突き動かしていたようにおもう。


猫がモチーフになったのは、たまたまだった。出版企画の草案として、平凡社のPR誌「月刊百科」の表紙で服部さんがデザインした猫のシリーズが好きだったので、その42匹の完全保存版はどうでしょう、というのが話の入り口ではあったけれど、パソコンの中で完結してしまう方針には興味を示さなかった。代わりに、猫になるかどうかはわからないが、それを紙で即興的につくってみることを逆提案された。

この本は、下書きなしで紙にハサミを入れて、切り取った23匹の「紙の猫」を本人が撮り下ろしたドキュメントブックになっている。なによりも、服部さんがじぶんの身体を動かして、偶然のデザインをたのしむように出来上がっていった。表紙と見返しをNTラシャの「るり」色で包んだのも、服部さんのアイデア。ちなみに、BONBOOKシリーズで、『Paper Cats』の直後に刊行された『うたのほん』の著者で漫画家の高野文子さんは、服部さんの青い本に触発されたのか「わたしは、きな粉をまぶしたような色がいい」と、黄色い表紙になった。高野さんの『ドミトリーともきんす』(中央公論新社)を装丁したのが服部さんだった。

本書をつくった動機や背景について、詳しくは刊行時のインタビューも合わせてご覧ください。「カメラでグラフィックデザインする」のくだりには、服部さんのデザイン観がとてもよく表れています。

>BONBOOK刊行インタビュー

Text by 櫛田 理


Profile
はっとり・かずなり グラフィックデザイナー。1964年東京生まれ。1988年東京芸術大学美術学部デザイン科卒。ライトパブリシティを経てフリーランス。主な仕事に「キユーピーハーフ」「JR東日本」の広告、雑誌『流行通信』『真夜中』のアートディレクション、エルメス「petit hのオブジェたち」の会場デザイン、「三菱一号館美術館」「弘前れんが倉庫美術館」のロゴタイプ、ロックバンド「くるり」のアートワーク、『プチ・ロワイヤル仏和辞典』『仲條 NAKAJO』の装丁など。主な書籍に『服部一成グラフィックス』『服部一成(世界のグラフィックデザイン)』。毎日デザイン賞、亀倉雄策賞、ADC賞、原弘賞、東京TDCグランプリなどを受賞。




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