裸形のデザイン[新装版]/ 大西静二
Bibliographic Details
- Title
- Naked Shapes [second edition] / 裸形のデザイン[新装版]
- Author
- Seiji Onishi / 大西静二
- Editor
- Osamu Kushida / 櫛田理
- Designer
- Nobuhiro Yamaguchi / 山口信博, Ippei Tamai / 玉井一平
- Director
- Art direction by Nobuhiro Yamaguchi / 山口信博
- Images
- Yosuke Otomo / 大友洋祐
- Publisher
- BON BOOK (TOSHO PRINTING CO., LTD.)
- Year
- 2023
- Size
- w148 × h210 × d8mm
- Weight
- 200g
- Pages
- 112
- Language
- Japanese
- Binding
- Hard Cover Binding / ハードカバー
- Materials
- Paper
- Edition
- Limited edition of 2400 copies / Special edition of 100 copies
- Condition
- New
The first edition published by Rutles in 2009 is reprinted as a second and revised edition with new contents. ラトルズから2009年に刊行された初版に新たなコンテンツを加えた新装版 / Book Design by Yoshihisa Tanaka 田中義久 / Sales Cooperation by 無印良品 MUJI BOOKS / Printing and Binding by TOSHO PRINTING CO., LTD. 図書印刷株式会社 / Special Thanks to Koichi Uruma 漆間公一 、Osumi Tsuyoshi 大隅 剛 、Hidenori Sasaki 佐々木秀典 、Takiko Takahashi 高橋滝子 、Yasutoshi Tokunaga 徳永泰俊 、Yoshimi Noda 野田好美 、Kimiko Matsuzawa 松澤紀美子
「これは美しい」と感じる形の源泉をたどると、
どれもみな神仏の世界に通じてしまう。
大西静二
コマツのフォークリフトから国産戦車まで数多くの工業デザインを手がけた大西静二は、骨董や古物の界隈では知る人ぞ知る名物コレクターでもある。
本書は、そんな大西さんが長年蒐集してきた約200点の国産アルミニウム製品のうち、厳選した50数点を撮り下ろして収録している。そのそれぞれにデザインの視点で批評を綴ったキャプションがついているのもうれしい。ラトルズから2009年に刊行された初版は長らく絶版で、今回増補改訂版として、あらたに3点のアルミニウムコレクションを加えて復刊することにした。ブックデザインは、山口信博さん。
ところで、日本人がはじめてアルミニウムと出会ったのは、1880年代に遡る。1893(明治26)年、大阪砲兵工廠の太田徳三郎が兵器の製造に用いるために礬素銅(ばんそどう)の試験結果を陸軍大臣大山巌に宛てて報告したように、当初からアルミは兵器として使用された貴金属で、アルミニウムの増産は日本の軍需産業に欠かせないものだった。ちなみに、礬素銅とはアルミ(当時は礬素と呼ばれた)と銅を配合した合金で、前述の実験結果から礬素銅は兵器鋳造の材料として優れていることが分かっていた。
1898(明治31)年にアルミの国産化が本格化する。鉄に比べて軽量なアルミは、戦闘機の機体に必須だったのだ。20世紀初頭の戦争時代、特に日中戦争以降、アルミは零式艦上戦闘機(いわゆる零戦)の機体材料であるジュラルミンの原材料として、いよいよ需要が急増した。ジェラルミンは、アルミに銅とマグネシウムを加えた合金で、アルミのように軽く、アルミよりも強度がある。かくして、戦時下に育まれた大量のアルミニウムは、戦争終結とともにいったん用済みとなり、大量のアルミ屑が日本の町工場に流れ着いた。
ここから、大西静二にとっての「アルミニウム物語」がはじまる。「サイコロ」や「メガホン」、「赤ちゃんのガラガラ」や「団扇」、「ちゃぶ台」や「仏前の輪(りん)」などなど、なんでもある。鉄や銅や木材が圧倒的に不足していた終戦直後の数年間、アルミを原材料とする代用品が日常にあふれていた。1944年生まれの大西静二は、そんなアルミニウムプロダクト全盛の時代に、幼年期を過ごした。大西さんが最初に出会ったデザインが、デザインの教科書には載らない「デザイナーなしのデザイン」だったのだ。
自然物に無駄な造形は無い。もともと名前は無いし、加工や着色もない。このコレクションからは、古美術の世界で重宝されている手沢や味は、きれいさっぱり洗い落とされている。銘板は外され、アルマイトや塗装は落とされている。戦後80年を迎えようとするいま、素顔のアルミニウム製品たちが帰ってきた。
Text by 櫛田 理
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大西静二 / Seiji Onishi
1944年、香川県生まれ。インダストリアル・デザイナー。株式会社アルファデザイン代表。
小学4年生のとき、担任の先生が持っていた登山用の「ピッケル」に衝撃を受け、自ら図面を描いて近所の鍛冶屋さんに発注したことが、モノづくりに目覚めたきっかけだという。
1960年代中頃、電子機器メーカーの研究所のデザイン部員として国産コンピューターの開発などに携わった後、1969年に自身の工業デザイン研究所を開設し独立。以後、知育教育玩具、美容機器、二輪・四輪車からブルドーザー、パンタグラフの原理を使ったユニット・ハウスといった住宅まで、大小さまざまな製品や機械・機器類の設計と制作を手がけてきた。
代表作に、イタリアの女優ソフィア・ローレンを起用したCMと「ラッタッタ」の愛称で大ヒットしたホンダのミニバイク「ロードパル」(1976年)、Gマーク(グッドデザイン)産業機械部門賞を受賞した「コマツ超小旋回式ショベルPC50UU-2」(1992年)などがある。