重なる箱

Bibliographic Details

Title
重なる箱
Artist
コイズミアヤ / Aya Coizumi
Year
2016
Size
h97 × w300 × d300mm
Weight
1.1kg

重なる箱の処女作。
まるで古代の祭器か、
空想都市模型。

コイズミアヤの造形作品を代表する「重なる箱」シリーズ。初期には、階段や柱などミニチュアの建造物を内包する〈箱〉を制作していた作者が、〈箱〉であることが生み出すエネルギーを、純粋な“かたち”へと変換していく試行錯誤の過程で発見した「入れ子の箱」という発想。入れ子といっても、葛籠(つづら)やマトリョーシカ人形のように、順番にかさねて入れる求心的なネスティング構造ではなく、遠心的にズラしていく独自の方法。この「入れ子」の発想から生まれた「重なる箱」の作品群をご紹介します。

現時点でNo.11まで継続している「重なる箱」シリーズの1作品目にあたる本作は、高台のある白磁のような静かな佇まい。接着していないにも関わらず、互いに重なり合うことで、地面から立ち上がっています。

コイズミさんにお話を聞くと、はじめは、中心に一つの正方形の箱を置くのがルールなのだそうです。それからは、子どもの頃によく遊んでいたダイアブロックがそうだったように、箱が箱をまたぐことで構造が生まれていくイメージで、次の箱が重なるように「切り欠き」を作り、遠心的に様々なかたちの箱を重ねていくのだそうです。

このようなプロセスを経て、最後にアクリルジェッソとグアアッジュを塗って、表面にヤスリをかけた「重なる箱」は、千年前の古物にも、千年先の未来からやってきたものにも見える不思議な存在感を放っています。見れば見るほど不思議で、古代王朝の祭器にも、組文字の版にも、空飛ぶ円盤にも、

イタロ・カルヴィーノの『見えない都市』に出てくる空想都市の模型のようにも、見えてきてしまいます。区切られ生まれていく様々な空間一つ一つに自由な想像力がうごく体験は、まさに作家の思考をそのままトレースしていく考古学者の気分そのものなのかもしれません。


Text by 中澤健矢(FRAGILE BOOKS)

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