Inventory of Red Paints
Bibliographic Details
- Title
- Inventory of Red Paints
- Artist
- MIGUEL ÂNGELO MARTINS
- Translator
- Anthony Nuckols
- Images
- Miguel Angelo Martins
- Publisher
- Raum Editions
- Year
- 2014
- Size
- Booklet: 200 x 150mm / Cards: 200 x 150mm
- Weight
- 230g
- Pages
- 46 cards & 14p ( booklet )
- Language
- Spanish and English / スペイン語、英語
- Binding
- Saddle stitched, Softcover, with belly band / 中綴じ、ソフトカバー、帯つき
- Printing
- Risograph 1-ink (red)
- Materials
- Paper: Munken Pure 200 gsm, Munken Print Cream15 80 gsm, Munken Print Cream15 150 gsm
- Edition
- 300
- Condition
- New
- ISBN
- 978-84-617-0600-6
Raum Editions #03 /Text: Laura Pilar Delgado / Types: Adobe Casion Pro, Trade Gothic LT Std
一冊一色
古代ローマから脈々と流れる
芸術の血は朱い
『Inventory of Red Paints』は、スペイン人アーティストのミゲル・アンヘル・マルティンスが10年間かけてあつめた46種類の赤い絵の具が収録されている。この本は、ミゲルとパートナーのラウラが立ち上げたレーベル「Raum Editions / ラウムエディションズ」から発行された記念すべき第一作目でもある。
この本には、46種類の絵の具とそれぞれの色からオマージュする46種類の絵画で構成されており、絵の具のチューブのイメージと技術的な仕様が記されている。テーマを赤い絵の具に絞った理由は、古代ローマでは朱色の顔料が特に希少で高価だったこと、そして歴史的に重要な存在であったことから。
絵描きを目指していたミゲルがその筆を置いて、枠に嵌まらないアーティストとして次のプロジェクトに取り掛かろうというとき、起爆剤となったのは彼のアトリエに溢れていた画材だった。愛着のあるそれらを処分することなど考えられなかった彼は、それらを素材として作品を制作することに決めた。アトリエに散らばった紙や絵の具や筆を棚卸しすることから始め、それぞれに第二の人生を与えられるように、それらを新しい視点で整理すること自体をプロジェクトとしたのだ。
一見、もの好きが編んだオブジェの本に見えなくもない、ただそれはまったくの検討違いであるということをお伝えしなければならない。この本は、骨の髄から芸術を愛し、絵を描くことを渇望した人間が見つけた、あたらしい芸術の表現方法にほかならない。キャンバスと対峙する画家のその鋭い眼差しが、一冊の本へと移されたのである。
ひとつ幸いがあるとすれば、キャンバスはまったく世界に1枚しか存在し得ないが、本は複製ができる。本物を所有できる機会が増えるということだ。ミゲルは作品のすべてを自らリソグラフで印刷し、作れる数だけ作ることにしている。決して多くはないが、こうして地球の反対側でも、彼の作品を手にすることができるのである。