平織の見本帖 / 奥順
Bibliographic Details
- Title
- Hiraori no mihoncyo / 平織の見本帖
- Author
- Ando Takehito / 安藤健人(奥順株式会社)
- Designer
- Nobuhiro Yamaguchi + Ippei Tamai / 山口信博+玉井一平
- Director
- AD: Nobuhiro Yamaguchi / 山口信博
- Publisher
- Okujun Co. Ltd / 奥順株式会社
- Year
- 2025
- Size
- h246mm × w240.5mm × d61mm(Sleeve case) h240mm × w240mm × d59mm(Book)
- Weight
- 1710g
- Pages
- 32
- Language
- Japanese / 日本語
- Binding
- Shinohara Shiko Ltd., Bookbinding design: Tatsuhiko Niijima(Shinohara Shiko Ltd.) / 有限会社篠原紙工、造本設計:新島龍彦(有限会社篠原紙工)
- Printing
- NIKKENBIJUTSU Inc. / 日研美術株式会社
- Materials
- Cover Paper: ARAVEAL-FS, White, Kikuban 62.5kg, Board Material (Inner Core): NPCC #42, Title Label Paper: KIHOUSHI U-FS, Medium Rough, K-size, 147.5kg, Text Paper: KIHOUSHI U-FS, Medium Rough, K-size, 201.5kg & ARAVEAL-FS, White, Kikuban, 62.5kg, Sleeve Paper: Wild-FS, White, 720×1020mm, 624kg / 表紙用紙:アラベール-FS・ホワイト・菊判T目62.5kg、芯材:NPCC#42、題箋用紙:気包紙U-FS・ミディアムラフ・K判T目147.5kg、本文用紙:気包紙U-FS・ミディアムラフ・K判T目201.5kg、アラベール-FS・ホワイト・菊判T目62.5kg、スリーブ用紙:ワイルド-FS・ホワイト・720×1020mmT目624kg
- Edition
- Limited edition of 10 copies / 限定10部
- Condition
- New
発行人:奥澤順之、 特別協力:古裂ギャラリーおおたに、古裂古美術 蓮、小島古道具、古民藝もりた、松井商店、宮﨑千佐子 / Publisher: Yoriyuki Okuzawa (Okujun Co., Ltd.), Special thanks: Furugire Gallery Ohtani, Kogire Kobijutsu Ren , Kojima Furudougu, morita antiques, Matsui Shouten, Chisako Miyazaki
結城紬とは?
その答えを探して
古布を貼り付けた見本帖。
たった10部だけのこの特装本は、結城紬の産地問屋である奥順があつめた古布コレクションを一冊にまとめたものです。結城紬とは何か、平織とは何かについて考える手がかりになるようなハギレを貼り込み、ていねいに手製本されています。
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作者メッセージ
古い布を少しずつ集めてきました。元は図案の参考にと求めたものですが、ただ心惹かれて手に入れたものもあります。江戸から明治にかけての「紬」や「木綿」が多くありますが、昭和の暮らしの中で使われていたふだん使いの木綿も収めています。
ほとんどが平織(ひらおり)なのは、偶然ではありません。日頃扱っている結城紬が平織だからです。私たちは、図案はつくりますが、ものづくりは職人に委ねるのですが、職人さんと話していると、解像度の違いに圧倒されてしまいます。自分たちも毎日触っているはずの結城紬のことなのに、ぜんぜん知らないことを思い知らされます。
それが悔しかったのか、いつ頃からか、自分の扱っている「結城紬」というものがいったい何なのか、どんなときでも考えてしまうようになりました。普段の生活のなかでも、自宅や外出先でたまたま居合わせた「布地」を触ってみては、気づけば「結城紬」と比べることがクセになってしまいました。特に、古い布を眺めているときは、「糸の組み立て」や「織りの密度」に目を奪われながら、いつの間にか現在の結城紬を思い浮かべてしまうのです。
この見本帖は、そんなわたしが長年こつこつ集めてきた古布を貼り込んだ一冊です。題名の「平織の見本帖」は、まとまりのない古布を一括するための苦肉の策でしたが、平織の特徴こそが、結城紬を言い表すのに相応しい言葉だと、気づいたからでもあります。
英語圏では平織のことを「plain weave」と呼びます。プレイン(plain)とは、単純、質素、地味、徹底、明白、平易という意味で、その平織の特徴こそが、結城紬を言い表すのにもっとも相応しい言葉でした。
この見本帖には、結城紬の端切れは一枚しか貼られていません。一冊を通して、結城紬とはなにか、という問いに応えてくれる布だけを選びました。そのほとんどは名前も無く、現在作られている布は一つもありません。
結城紬は、かたちを変えずに生き残ってきました。結城紬は何を選び、何を残してきたのか。残らなかった多くの布のなかに置くことで、結城紬の輪郭が少しずつ見えてくる気がしました。
本書は、デザイナーの山口信博さんから「見本帖をつくりませんか」とご提案を頂いたことがきっかけで出来上がりました。造本設計・製本は、造本家の新島龍彦さんに依頼しました。ここに深く御礼申し上げます。
text by 安藤健人(奥順株式会社)
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*結城紬について
結城紬は、糸つむぎから機織りに至るまで古来の技法が多く受け継がれている、日本を代表する絹織物。最大の特徴は真綿から手でつむぎだす、やわやかく空気を含んだ糸にある。関東平野を流れる鬼怒川流域を中心に、茨城県結城市から栃木県小山市にかけて生産されている。1956年重要無形文化財指定、2010年ユネスコ無形文化遺産登録(「糸つむぎ」「絣括り」「地機織り」の三工程)。
*平織について
平織とは、織物をかたちづくる最も単純な構造です。結城紬はそのたった一つの構造でつくられてきました。水平垂直に交差し、交互に重なり合うたて糸とよこ糸。いろいろな平織の布を比べてみると、平織は単一の構造ではなく、そこには無数の選択肢があるとわかります。結城紬はその無数の選択肢のなかで、結城紬というかたちを選び、目指してきたことに気づかされます。
◉価格について
価格:78,000円(税込85,800円)
部数:ナンバー付き限定10部
発行日:2025年5月15日
◉展示会について
奥順/結城紬展「平織の見本帖」
会場:代官山ヒルサイドテラスE棟ロビー
期間:2025年5月15日(木)-18日(日)
◉シリアルナンバーについて
オンラインでご購入いただくお客様につきましては、番号はご指定いただけません。予めご了承ください。
◉お届けについて
展示会終了後、6月上旬から順次発送を予定しております。
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発行元
奥順 (Okujun)
1907年(明治40年)創業。結城紬の産地において、図案制作、機屋への発注と仕入、流通を担う製造問屋。原料である糸の確保、反物の最終仕上げである湯通し(糊抜き)も手がける。また資料館を含む観光施設の運営、ショールをはじめとする新商品の開発など、結城紬を広く伝えるための事業を展開している。
https://okujun.co.jp/