ENGHELAB STREET, A REVOLUTION THROUGH BOOKS: IRAN 1979-1983

Bibliographic Details

Title
ENGHELAB STREET, A REVOLUTION THROUGH BOOKS: IRAN 1979-1983
Artist
Hannah Darabi / ハンナ・ダラビ
Director
Concept by Hannah Darabi
Publisher
SPECTOR BOOKS
Year
2019
Size
h335 x w240 x d35 mm
Weight
1830g
Pages
540 pages
Language
French / English
Binding
Softcover / 並製本

革命を知らないイラン人の
女性アーティストが
秘かにあつめた革命本。

イラン出身でパリ在住のアーティスト、ハンナ・ダラビ(1981年生まれ)が蒐集したさまざまな”革命本”のビジュアル目録。とくにシャー政権末期からイスラム政権初期にかけて、イランに言論の自由がゆるされた1979年から1983年の束の間に発行されたイラン革命に関する本を拾いあつめた。革命維持を扇動するプロパガンダ写真集から、“白表紙”と呼ばれる違法な地下出版(例えば、政治に関する書籍や海外小説)まで、なかには一刻も早くメッセージを伝えたい緊急性から生まれたZINEのようなセルフパブリッシングも多数収録している。

この本に収められている本には、ポップとダークの両極端が溶け合っている。メキシコの壁画やストリートカルチャーのカリグラフィを感じさせる表紙からは想像もできないくらい悲劇的な内容。なかには、目を背けたくなる生々しい戦場写真も登場する。

革命後にテヘランで生まれたダラビにとっては、取り繕われた歴史観ではなく、自分の目でリアルな革命体験をすることが目的だった。彼女は、それを追求するために、テヘランで多くの書店が軒を連ねるエリアに足繁く通いつめ、少しづつ革命本を拾いあつめていった。その書店街のあるエリアの名が、本書のタイトル「Enghelab Street(エンゲラブ・ストリート / 革命通り)」になっている。

本編は3つのセクションで構成されている。第1部は、イランに特有の美意識と視覚的なトレンドをつたえる写真集。第2部は、政治的なプロパガンダをテーマに、急ごしらえの記録を伝えるさまざまな党派の本。第3部では、ダラビが「再構築(Reconstructions)」と呼んだ蒐集コレクション(日用品、文書、家族写真、視聴覚イメージ、絵葉書など)を展開する。

この出版を後押ししたのは、2019年1月9日から2月11日までパリの「LE BAL」で開催された同名の展覧会『Hannah Darabi, Enghelab Street, A Revolution through Books: Iran 1979–1983』で、フランス国立造形センター(CNAP)と欧州研究機構(ERC)が助成金を支援している。


Text by 櫛田 理
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