egg / 澄敬一[プレオーダー/11月上旬発送]
Bibliographic Details
- Title
- egg
- Author
- Keiichi Sumi / 澄敬一
- Editor
- Director + Editor + Publisher: Osamu Kushida / 櫛田 理
- Designer
- Nobuhiro Yamaguchi + Ippei Tamai / 山口信博+玉井一平
- Images
- Photo by Yosuke Otomo / 写真:大友洋祐
- Publisher
- FRAGILE BOOKS
- Year
- 2025
- Size
- h182 × w128 × d28mm
- Weight
- 500g
- Pages
- 320pages
- Language
- English & Japanese / 日英対訳
- Binding
- PolyUrethane Reactive / PUR製本
- Printing
- 4C offset printing / 4C オフセット
- Materials
- Main paper: Fronty Tough W 4/6 70.5kg, Endpapers: Irojoushitsu Deep Cream, Extra Heavyweight, Cover Paper: NT Rasha Yellow 210 kg, Dust Jacket: Curious Touch Arches Natural 239.5 kg, Sleeve Paper: Irojoushitsu Deep Cream Extra Heavyweight / 本文用紙:フロンティタフW 46判 70.5kg 、見返し:色上質 濃クリーム 超厚口、表紙用紙:NTラシャ 黄色 46判 210kg 、カバー用紙:キュリアスタッチアルシェ ナチュラル 239.5kg スリーブ用紙:色上質 濃クリーム 超厚口
- Edition
- Limited edition of 800 copies / 限定800部
- Condition
- New
- ISBN
- 978-4909479-10-5
Special thanks: Kimiko Matsuzawa and Luka Yasukawa, Koji Takahashi, Tatsuhiro Sekisaka, Yuko Nishimura, Ryuta HirosakiPrinting: Fujiwara Printing, Binding: Mochizuki bindery / 協力:松澤紀美子、安川流加、高橋孝治、関坂達弘、西村優子、廣崎竜太、印刷:藤原印刷、製本:望月製本
収集して、調査して、標本する。
澄敬一が22年間かけてあつめた
卵のコレクション。
この本に収めた160点の偽卵は、いずれも19世紀末から21世紀初頭にかけて世界各地で産まれている。偽卵といっても、鳥の産卵を抑制するためのものはごく一部で、玩具や健康グッズ、オーナメントや手品道具、調理器具や食品サンプルなど、いまとなっては探し出せないありとあらゆるフェイクエッグが登場する。工場で大量生産されたものから、ひとつだけ机の上で縫われたものまで、ぼくにとってこの本は忘れられたカルチャーのスコアブックのようなものなのです。 (本書あとがきより)
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おそらく世界のだれよりも卵の形をしたものをコレクションしている澄敬一の「エッグ・コレクション」が一冊になりました。デザインは山口信博さん。卵を割ってたべるような、フラジャイルな造本に仕上がりました。
澄さんへのインタビュー
現在、コレクションはどれくらいの数がありますか?
この本に掲載している160個とは別に、重複しているものもけっこうあるので、だいたい250〜300個くらいと思います。売ってしまって手放したものも少なくありません。
卵のかたちをしたものには、いろいろな素材があるのですね。
木、金属(アルミニウム、鉄、真鍮、銅、ステンレス)、磁器、陶器、土器、プラスチック、紙、布など、いろいろです。産卵をコントロールする偽卵の他に、玩具、知育パズル、食品サンプル、イースターエッグのような装飾品、記念品、裁縫道具、万博グッズ、健康器具、調理用具、販促品など、用途も多岐にわたります。もっとも古いものは1892年頃にシカゴ万博に出品するために作られた「コロンブスの卵」です。
それにしても、なぜ卵をこんなに?
2001年に池尻大橋で「push me pull you」という店を始めた頃、近所に捨てられていた壊れた鳩時計を拾ってきて、修理して飾ったのがきっかけでした。「そこに鳥がいるなら、卵も欲しい」と思ったんです。静物画のような風景をつくりたかったのだと思います。それから数年後に、骨董市でたまたま数百個のカラフルな卵型マラカスを見つけて、その中から白いものだけを選んで買いました。尋常じゃない数の卵と出会ったことで、収集に火がついたのかもしれませんね。そのマラカスは、プラスチックの卵に砂が入っていて、振ると音がシャカシャカ鳴って、重心が下がることで「コロンブスの卵」のように立つしかけでした。転がらずに安定する形にも惹かれました。
収集してみてどんな発見がありましたか?
そうですね、ぼくが集めているのは、どれも大量生産品ですが、同じ形のものはひとつも無いんです。卵の輪郭はシンプルで、世界のだれもが似たような卵らしさを感じることができるのに、それでも設計する人や、地域や時代や用途によって、アールの取り方や重心の位置が違ってくる。量産品のなかにも個性が潜んでいるんです。
とくに気に入っているのは、どの卵ですか?
どれも一期一会で気に入っていますが、たとえばデンマークの数学者ピート・ハインによる「スーパーエッグ」は面白いです。銀座の松屋で販売されていたこともありますが、いまは入手が困難です。他にも、モーターが仕込まれている「マッサージ・エッグ」とか、砂時計を封じ込めたドイツ製のアクリルの卵もお気に入りです。どれも、いまはもう作られていないものばかりです。
それぞれの卵に「タグ」が付いています。
偶然、骨董市で見つけた「フォトカッター」という道具を使っています。証明写真などを切り抜くための機械で、角が丸く落ちるのが気に入って。そこにタイプライターで素材・寸法・重さ・国名などを打ち込んでいます。紙は古書の空白ページや包装紙の裏、薄くした段ボール、アルミホイルなど。どれも、その時手元にあったものでつくっています。
集めたものに手を加えることもあるそうですね。
社名や商品名など、表面の情報は落としています。アルマイトを剥がして素材を見せたり、着色を消してフォルムだけを残すこともあります。そうすることで、形そのものがより鮮やかに見えてくるんです。
あらためてコレクションを並べてみると、壮観です。
ぼくは昔から丸みのある形が好きです。スプーンの先、ラケットの面、鳥籠の形など、卵の形のようなフォルムにも惹かれてきました。砂粒も、こすれあって、丸くなって、いったん完全な球形におさまると、それから先は何万年も形が変わらない、のだとか。卵には永遠に崩れない「かたち」があるような気がしています。
◉商品のお届けについて
11月上旬から順次発送を予定しております。発送の目処が立ちましたら、ご購入いただいたお客様にメールにてお届け日時のご連絡をさせていただきます。
著者プロフィール
澄敬一 / Keiichi Sumi
1964年、北海道函館生まれ。父はトラピスチヌ女子修道院の修繕や増改築を手がける工務店を経営していた。18歳で上京し、早稲田大学工学部建築専門学校で学ぶ。その後、設計事務所を3年で退社。それからおよそ10年間、ビルの窓拭き清掃員として働きながら、ヨーロッパや中近東などを放浪する。2002年、自ら内装したインテリアショップ「push me pullyou」を池尻大橋に開店。ファッションブランド「vêtements」、ギャラリー「LA GALERIE DES NAKAMURA」、セレクトショップ「Haberdashery」、撮影スタジオ「Lion Building」、「折形デザイン研究所」など数多くの内装やインテリアデザインを手がける。2004年、パートナーの松澤紀美子と「petitcul」を早稲田に開店し、現在に至る。