Baked Book vol.12
Bibliographic Details
- Title
- Baked Book vol.12 / 焼きたての本 vol.12
- Artist
- Haruna Morita / 森田春菜
- Year
- 2024
- Size
- h115 × w50 × d75mm
- Weight
- 280g
- Edition
- Unique
- Condition
- New
森田春菜の
焼きたての本 vol.12
彼女の手から生まれるかたちは、陶芸と呼ぶには違和感を覚えるほど、慎ましい佇まい。流行や作家性とは対極に在るものです。
今回ご紹介する作品群「Baked Book」は、まるでオーブンから出したばかりの焼きたての本。風に吹かれて宙にフワッと舞い上がりそうな本の1ページ、そんな一瞬の出来事を留めた姿には、焼かれて灰となった和紙の面影が浮かび上がります。
紙のようで紙ではない、ひと目では捉えられないその不思議な質感は、使用する素材に理由があります。和紙片の表面に泥漿(でいしょう:粘土と水を混ぜ合わせて泥のような液体状にしたもの)を塗布して、板に並べて乾燥させると、乾燥した時に紙片が反ったりめくれ上がったりします。その変化は、まるで濡れて波打つ紙のようです。
乾燥した紙片は素焼きすると、和紙の表情を転写した薄い磁土片ができると同時に、和紙は焼け消えてなくなり、その面影だけが残るのです。瞬間的な形態、そして経年変化によって表情を変える姿は、留まることを知らない時間の重なりのよう。
「Baked Book」は、過ぎゆく私たちの時間に寄り添いながら、そこに吹き抜ける風を受けて、刻々と表情を変えつづけます。
Text by Ema Otobe
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作家メッセージ
制作において、用いる対象素材を丹念に観察し自分の動機と密に関わってい くことで、自分の感覚と物質が互いに絡まり合う体験があります。そうして生み出される造形物 は、人が世界で生きていくためのものづくりの原型の姿とも映り、悠久の時空を想像する感覚や 自分自身のなかに脈々と流れるヒトが受け継いできた何かを実感することでもあるのです。
森田春菜
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【注意点】
・作品について:本品は、空気に触れることで表面の色が少しずつ変化していきます。経年変化としておたのしみください。
・包装について:和紙の揉み紙で包んだ桐箱入でお届けします。
・お届けについて:展覧会終了後、11月中旬に発送を予定しております。
・お取り扱いについて:素手で触ると表面に指紋の跡が残ります。
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フラジャイル博覧会
Baked Book Exhibition
期間:2024年10年1日-10月31日
場所:オンライン展示室へ
October 1 - October 31, 2024
Fragile Books Online Exhibition Room