百貨店の水貼りシール

Bibliographic Details

Title
百貨店の水貼りシール
Author
アノニマス
Year
戦前~1960年代
Size
ファイル h259 × w187 × d20 mm / 水貼りシール 20-30mm角内外
Weight
520g
Language
日本語
Binding
市販ファイル
Printing
エンボス加工 エナメル印刷 型抜き その他

ファイル1冊に166種273枚 + 商標6種7枚を収める。内訳は下記の通り。 高島屋34種65枚 三越24種36枚 大丸25種52枚 松坂屋23種39枚 白木屋16点24枚 そごう13種17枚 伊勢丹6種7枚 丸物9種12枚 阪急7種9枚 阪神マート3種3枚 その他6種9枚。百貨店商標6種7枚。

絶滅した小さな紙片、
百貨店の水貼りシール。
戦前〜1960 年

丸形、四角形、菱形など、目にたのしいこれらの小さな紙片は、戦前から1960年頃まで、主にお店先で包装紙の端を止めるために使われていたシールです。今回は、大切にファイルに収められていたこの上ない状態のコレクションをご紹介します。

エンボス加工や型抜きなど、小さな紙片にしてはデザインに工夫を凝らしたものが多く、人気のある紙モノのひとつ。還暦前後の人間が実際に使われているのを記憶している最後の世代ではないでしょうか。百貨店からチェーン店ばかりか個人商店まで使っていた水貼りシールですが、便利な印刷セロテープにとってかわられ、残念ながら、現在ではまったく見かけなくなった、正真正銘の絶滅危惧種です。

意外に縁が深いのが古本屋で、水貼りシール仕様の値札用のストックがいまも残っているというお店の話もちらほらあるようです。また、古本屋で販売している本の後ろ表紙に貼りついている水貼りシールを目当てに、古書を求める方も居るとか。

水貼りシールは、切手と同様、裏側に糊が敷いてあり、水をつけて使います。現在では、どの店もセロファンテープを惜しみなく使って商品を包むようですが、その昔は、大切な手紙に似合う切手をそっと貼り付けたように、用途や催事、店舗によって多くの種類が使い分けられていたようです。包みの最後にポンとひとつ貼ることで、贈る気持ちを託したのでしょう。それが証拠に、老舗百貨店の高島屋が34種、三越24種、大丸25種など、1つの店舗でも実にたくさんの種類の水貼りシールを準備していたことがわかります。

数多ある水貼りシールの中でも百貨店のものはナショナル・ブランドとしての格にふさわしく、図版の細かさ、エンボスの高低など、細部にわたり精度の高いもの多数。包装を解く際に、破損して捨てられる運命にあるので、昔のものはほぼ残っていないのですが、今回出品するのはすべて未使用の希少品です。

水貼りシールの名称について:

比較的目にする紙モノですが、実は正式名称が定かではありません。「シタダシレッテル」ではないのかと云うお客さまもいらっしゃいましたが、それは例えば「亀の子たわし」のようにメーカー名で呼ぶことになるような気もします。商標レッテル、商標ラベルと呼べそうですが、こちらはもっぱらマッチラベルや瓶・缶・函などに直に貼ったり商品に添えたりするものに使われます。こうした他のラベル類とするため、日月堂では水貼りシールと呼ぶことにしています。

Text by 佐藤真砂

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