echo|具本昌


echo
koo bohnchang
by fragile books

二度と再生することのない世界では、どんな物質も例外なくその存在をすり減らしていくさだめにあります。建築も、人間も、書物も、道具も、白磁も、この不可逆な時間からは逃れられない。使うほどに小さくなり、キズつき、最後には泡になって消えてしまう石鹸は、そんな時間の痕跡そのものなのです。

写真家のクー・ボンチャン(具本昌)は、世界各地で見つけた石鹸を日用として自ら使い古し、その消えゆく肖像を撮りつづけてきました。この本は、そんな彼のライフワークからこの数年のあいだに撮り下ろされた未発表作を含む40作品を選び直した特装版です。

タイトルは「echo(エコー)」といいます。100部限定のエディションです。かつて石鹸を包んでいた薬包紙のようなぬらっとしたワックスペーパーに印刷し、それを製本家の都筑晶絵さんが列帖装という方法で一冊ずつていねいに製本しています。

かさなった石鹸をぼんやり眺めていると、逝きし日のおもかげのようにも、親しい友や家族のポートレートのようにも見えてくるから不思議です。

出版を記念して、10月18日から大阪の ippo-plus でお披露目の展示を開催します。石鹸の実物やオリジナルプリントも展示販売される予定です。ぜひ、お運びください。

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出版概要

echo
koo bohnchang

写真:具 本昌
企画+編集+発行:櫛田 理
AD+デザイン:山口信博+山口美登利
造本:都筑晶絵
製作進行:田川いちか
発行日:2025年10月18日
部数:限定100部(サイン入り・ナンバー付き)
頁数:84ページ
種類:6種類の表紙パターン
出版社:FRAGILE BOOKS
価格:35,000円(税込)

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展示

期間:
2025/10/18(土)→ 10/26(日)
12:00→18:00 ※会期中無休

在廊日:
具本昌=10/18(土)
都筑晶絵=10/18(土)、19日(日)

場所
ippo plus(イッポプリュス)
565-0874 大阪府吹田市古江台1-7-4

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Profile

具 本昌
クー・ボンチャン

1953年、韓国ソウル生まれ。延世大学の経営学科を卒業後、ドイツに留学しハンブルク美術大学で写真を学ぶ。1985年に帰国して以降、アーティスト兼展覧会キュレーターとして韓国写真界を牽引し、そのシンプルでミニマリスト的な写真言語は、韓国のアートシーンに独自の存在感を確立してきました。2025 年には写真家として初めてサムスン・ホアム賞(Samsung Ho-Am Prize)を受賞。白磁や仮面、石鹸や古道具といったものが内に秘めている小さな物語を拾い集め、わずかな時間の痕跡に視線を注いでいます。著書は『White Vessel / 白磁』(Yido / 2015) 『新版 くらしの宝石』(BONBOOK / 2023)ほか多数。