ガラスの標本箱
Bibliographic Details
- Artist
- Anonymous / 作者不明
- Year
- Showa period / 昭和頃
- Size
- h53 × w388 × d298mm
- Weight
- 800g
割れたガラスに
紙を貼って修復する
素朴な紙直し。
京都の西本願寺に、「埋め木」という床板の直し痕があります。修復が必要な箇所に木片をあて、埋めるのですが、「瓢箪型」や「さかな型」や「富士山型」といった、おもしろい形で直されているんです。西本願寺のような手の込んだ職人直しがある一方、民間療法のような身近な修復方法があることも面白いものです。
昭和の直し方、と言う表現が適切かどうかは分かりませんが「ガラスの紙直し」という修復方法があります。硝子戸や窓ガラスのヒビに、紙を貼って修復するのですが、古い民家や古家具でよく見かけました。どうにも応急処置っぽいその直し痕が、素朴でとても良いのです。
この標本箱は、ヒビの入った状態のまま、手に入れました。ガラス以外は厚紙で出来ていて、それも好みだったので、憧れの昭和の、あの直しを少しアレンジして直してみました。直していたらば、図らずも、あの西本願寺の埋め木のような、「富士山」みたいな直し痕になってしまいました。めでたしめでたし。
Text by 都築重則