慈しみ、慎ましく生き、
そして、作ること。自らの手で。
聖フランチェスコのように。

生きる中で作ること、作る中で生きること。そのことを教えてくれた聖人フランチェスコ (Francesco d'Assisi / 1182-1226)。中世イタリアのアッシジに生まれたフランチェスコは、晩年の『遺言』に「私は、自分の手で働きました」と遺した。なにより自身の手による仕事を大切にし、サン・ダミアーノ教会 (Convento di San Damiano)をはじめ、生涯を教会堂の修復につとめた。

フランコ・ゼフィレッリ監督の映画「ブラザー・サン  シスター・ムーン」に、裸足で簡素な服をまとったフランチェスコが石を積む姿が描かれている。その映画で印象的だったのは、鳥や花々に話しかけ、触れ合う姿。この小鳥に説教したという逸話はよく知られていて、アッシジのサン・フランチェスコ大聖堂（Basilica di San Francesco）には、その光景がジョット(Giotto di Bondone / 1267-1337)によって描かれた壁画《小鳥に説教する聖フランチェスコ》がある。徹底した清貧の中で、それでも自然や隣人を愛しみ、福音書に書かれた通りの生活を願った人だった。

フランチェスコが初期に修道生活を行ったと言われる、リヴォトルト。この土地の名を借りて、私たちはリヴォトルト・ピーシーズを始めることにした。

手で何かを作ることは、幼少の頃より唯一続けてきたことだった。どこかに発表するでも、だれに見せるでもなく、ただ、生きることの探究として続けてきた。

この作品は、フランチェスコをイメージして、かつて描いた天然の土絵具の絵を素材とした。一層時を経たけれど、そのぶん、時間や想いが織り重なった作品になったかもしれない。

わたしたちは、クリスチャンではないし、特定の宗教を信仰しているわけではないけれど、聖フランチェスコのように慈しみと慎ましさをもって生活し、そして作ることを大事にしたい。日々の手の仕事に、平和への祈りを込めて。


Text by Rivotorto Pieces


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<参考文献>
◇ 川下勝『人と思想 184 アッシジのフランチェスコ』（清水書院）
◇ 朝倉文市『修道院―禁欲と観想の中世』（講談社現代新書）
◇ 塩野七生『ルネサンスとは何であったのか』（新潮社）


【注意点】
・保管の際は高温多湿、直射日光を避けてください。
・天然素材を使用しておりますので、置かれた環境により風合いや質感が変わることがございます。経年変化としておたのしみください。

【商品について】
・作家による手づくりの作品解説の冊子が付きます。
・作品をまとめて保管できる紙製の箱に入れてお届けします。
・作家と選んだおすすめの額装もご用意がございます。ご希望のお客様は、　
　ご希望のお客様は、info@fragile-books.com までご連絡ください。別途ご案内させていただきます。

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フラジャイル博覧会

Passage of Paper Textile
紙々の断章
2023.4.1 - 2023.4.30
→展示アーカイブを見る

Rivotorto Pieces（リヴォトルト・ピーシーズ）による初めての個展「Passage of Paper Textile / 紙々の断章」を開催します。作家のふたりが幼少より恋い慕ってきた先人たちの名を冠した「紙のテキスタイル」による作品群です。聖人や絵本作家や建築家など、古今東西からこんな人たちが登場します。アッシジの聖フランチェスコ、須賀敦子、レオ・レオニと小島悳次郎、シャルトルのベルナルドゥス、ティントレット、ダンテ、ジョット、白井晟一、俵屋宗達、ウィリアム・モリス、エドゥアール・ヴュイヤール、ピエール・ボナール、ムンタネー、ミケランジェロ、ヘルメス、ディオティマ、バーバラ・サンソニ、エルジェ、吉野弘、ルソー、フリードリヒ２世、シモーヌ・ヴェイユ、アルド・マヌーツィオ、ピカソ、マスダジル洞窟にいた人。作品ごとに付いてくるそれぞれの人との出会いを綴ったメッセージもなかなか。